本研究課題では琉球語那覇方言,Dagaare語,日英語等,複数の異なる系統の言語の数詞システムを比較し自然言語の数詞の統語構造が加算演算子に大きく依存していることを明らかにした.また加算演算子は併合統語操作が直接的に適用された結果であるという提案をした.数詞における離散無限性の表れ方は,いわゆる1+1+1...のような後者関数のシステムでもなく,全ての自然数に対して同じ数の全く異なる種類の数詞を割り当てるシステムでもなく,加算・乗算演算と限られた数の基数を基にしたシステムであり,それは経済性と外在システム(記憶等)の相反する要請に対して認知システムが生み出した最適解であるという分析を提示した.
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