本研究では近年変化の途中にあるといわれている名付けの習慣の傾向とその社会的背景と負担を究明した。全国の名付け傾向の調査で、確かに読みにくいと推測できる名前が各地で増加していることが確認された。だが、名前の特徴を分析した結果、メディアで取り上げられている珍奇な当て字の名前は少なく、大半が既存の読みを工夫していることが分かった。メディアにおける反応や名付けの理由を調査した結果として新しい名前が近年の家族関係や個人性の捉え方の反映として見られることが多いことも明らかになった。すなわち、新しい名前に対する批判は、新しい名前が読みにくいからだけではなく、新しい価値観の象徴となっているからだと解釈できる。
|