研究課題/領域番号 |
25770166
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 松山大学 |
研究代表者 |
姜 英淑 松山大学, 人文学部, 講師 (80610162)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | N型アクセント / 麗水蓋島 / 求礼 |
研究概要 |
平成25年度に実施した研究は主に,麗水市蓋島(けど)及び求礼(くれ)のアクセント記述及びその体系の解明を中心として行った。麗水市突山方言のアクセント体系が2つの型が対立していることに対して,蓋島方言のアクセントは1つの型しか存在しないことを明らかにした。蓋島方言は,従来の調査では突山方言と同じ2型アクセント体系であると解釈したが,その後の詳しい調査により型はあるものの対立はしないことを明らかにし,地域差による違いを報告することができた。蓋島方言のアクセント特徴は,慶尚道諸方言におけるそれと非常に緊密な関係にあり,アクセント合流にアクセント性質(語声調・アクセント核)が反映されている点で突山方言と類似している。また,世代差による特徴についても調査を行い,1つの型も失われつつあることが確認された。この点に関しては今後,話者を増やしてさらなす調査を進めていく必要がある。 求礼方言における研究調査は,高年層を中心に,名詞や複合名詞を中心として行った。その結果,名詞のアクセント体系は2つの型が対立を成していることが分かった。麗水市突山方言とは体系の上では2型アクセント体系で同じであるが,長母音系列のアクセント特徴が異なっており,その点で方言差が見られる。また,求礼の中でも,慶尚道寄りの地域や,全羅道寄りの地域でアクセント違いが見受けられ,今後の詳しい記述調査が急がれる。また,世代差による違いも見受けられたが,解明できるまでの資料が集まっておらず今後の課題となっている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
麗水蓋島方言における世代差によるアクセント特徴の解明は予定外であり,その調査により予定よりやや遅れが出ている。また,求礼方言調査においては話者が高齢のため,体調の調整などによる調査の遅れが生じている。また,地域的な特徴で,高齢者以外の良い話者を見つけることが難しく,集中的な調査活動が困難だったことも一つの理由である。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究は,従来通り現地調査による記述研究を行う予定である。研究達成がやや遅れてはいるが,詳しい調査により信頼できるデータを集めることを優先的に考えていく必要がある。そのため,話者を新たに増やしたりしながら,資料を補って行きたい。
|