本年度の研究実績は、1)臨地調査、2)データの整理、3)成果発表に分かれる。 1)については、データの補完のため、1度の短期の臨地調査を雲南省迪慶州を中心に行い、計4地点(新聯、布喀、吉仁水、色倉)の語彙資料(1地点約1000語)を収集した。また、特に吹亞頂方言および勺洛方言の文法記述を進め、例文収集を集中的に行った。この過程で、同地域に近接する地域に未記述言語が存在することが判明し、今後の研究に向けた初歩的な記述を開始した。 2)については、臨地調査で記録した語彙データを個別方言ごとに電子化を進めた。そののち、言語地図作成用にArcGIS onlineで使用可能な形式に従ったデータベースを作成した。同時に、言語地図の作成と解釈を20語について行った。また、記録した語彙の中からスワデシュ語彙表の100語を選び、語ごとにデータをまとめ、言語地図の作成を行った。 3)については、本年度の研究成果と本研究のまとめとなる論文を18件発表した。また、5つの国際会議(アジア地理言語学国際会議、国際チベット学会議、北京チベット学国際会議、西南中国のシナ・チベット語会議、アムド研究ネットワーク)に参加し、6件の口頭発表を行った。加えて、本研究と関連する2件の招待講演を中国、オーストラリアでそれぞれ行った。加えて、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所の共同研究「アジア地理言語学」と共同で本研究で得られたデータを含む言語地図を作成し、関連する成果を発表した。
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