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2013 年度 実施状況報告書

文処理過程における言語情報間の相互作用について

研究課題

研究課題/領域番号 25770168
研究種目

若手研究(B)

研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

大石 衡聴  独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (40469896)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード文処理 / 文理解 / 脳波 / 事象関連電位 / 時間周波数解析
研究概要

本研究課題の主たる目的は、文処理過程でこれまで様々な現象に関連して観察されてきたP600と呼ばれる事象関連電位成分を、脳波の時間周波数解析という方法を用いることでその異同を明らかにすることである。Science誌に掲載されたHagoort, Hald, Bastiaansen, & Petersson (2004) では、P600と同様に言語の処理に関連して惹起されるN400という成分のうち、選択制限 (restriction violation) の違反を反映するものと、世界知識 (world knowledge) の違反を反映するものとで異なる周波数帯域での活動が観られたことを報告している。Hagoort et al. と同様の手法を用い、平成25年度では (i)「ある時点までに構築された統語構造の修正処理」に伴う負荷を反映するP600と (ii) 「統語情報に基づく解釈と意味情報に基づく解釈とが対立する際に行われる処理」に伴う負荷を反映するP600とが質的に同じものであるか否かを検証するための実験を実施した。測定の結果得られた脳波データに対し、まずは事象関連電位を抽出するための解析し、(i) と(ii) で共にP600が惹起されていることを確認した(ただし、(ii) ではN400も観察された)。その上で、同じ脳波データに対して時間周波数解析を実施したところ、(i) と (ii) とで異なる周波数帯域での活動が観察された。これらの結果から、(i) と (ii) では共にP600が惹起されるものの、脳内で行われる認知的処理は質的に異なるものであることが明らかにされた。この研究の成果を平成26年度では学会発表や論文の執筆という形で積極的に公表して行く予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

仮説の考案とそれを検証する為の実験の実施、データの解析および解釈、ならびに成果公表に向けての理論の構成については概ね予定通りであった。それらの研究成果を、例年3月にアメリカで開催されるCUNY conference on human sentence processingで公表するつもりだったが、平成26年度からの異同(理化学研究所から立命館大学へ)に伴う雑事で成果公表まで至らなかったため、区分(3)を選択した。

今後の研究の推進方策

上の【研究実績の概要】で述べたように、時間周波数解析を用いることで、これまでのように事象関連電位を指標とした研究では差別化ので来ていなかった現象が質的に異なるものであることを明示化可能であることが明らかとなった。平成26年度以降では、まず、上記の研究成果を学会発表や論文執筆という形で積極的に対外的に公表して行く。さらに、研究計画書で挙げた、P600によって反映される文処理の現象に対して時間周波数解析を実施し、検証の対象とした現象間の異同を明らかにすること、および文処理分野以外の認知心理学的分野での時間周波数解析を用いた知見を参照し、文処理過程での一般的認知機能の役割を明らかにして行く。

次年度の研究費の使用計画

年度末近くに海外での学会発表を計画しており、さらにもう一つ実験を実施する予定で研究を進めていたが、異動が決まったため、やむなく断念せざるを得なかったため、次年度使用額が生じることとなった。
研究計画書の提出時点で計画していた平成26年度実験に加えて、平成25年度に実施できなかった実験を実施し、謝金をもって予算を消化する。また、海外での学会発表を積極的に行い、旅費によって予算を消化する。

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公開日: 2015-05-28  

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