本研究では、明治時代に刊行され後の日本の基本漢字集合の成立に影響を与えたチェンバレン(1899)『文字のしるべ』と近代以降の日本の国内外の漢字文献を比較し、次の2点に言及した。 1.2000~3000字程度の基本的な漢字集合には、日本人の伝統的な解釈に基づくものと、西洋人が日本語習得のために作成したものという2系統が存在する。そして、その両者が相互に影響しながら合流した結果、現在の集合となった。 2.現存する『文字のしるべ』に残る使用形跡から,当時の所有者が用いた様々な漢字習得の方法が明らかになるとともに,その実用性が証明された。
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