平成27年度は,前年度までに収集してきた時系列データのDIF分析に取り組むことを行なった。この分析を通じて,特に多値型および多母集団(3集団以上)のDIF分析において,サンプルサイズがそれほど大きくない場合に,従来申請者が提案してきた方法では,適切な計算結果が得られない場合があるという,新たな課題にたどり着くこととなった。そのため,まずこの課題の克服をなすことを優先し,素点を利用したDIF検出の方法という,新規分析方法の開発研究を行なうこととなった。この研究成果については,日本教育心理学会第57回総会にて「素点を用いたDIFの大きさを表す指標の提案」として発表を行なった。 また,DIF研究の浸透について情報収集を行ない,特に28年1月にメルボルン大学の応用言語学者や数学教育者,そしてAssessment Research Centreの研究者らと情報交換を行なった。また同じくオーストラリアにあるテスト研究期間であるAustralian Council for Educational Research(ACER)を訪問し,情報交換を行なった。これらの情報交換を通じ,海外においてもDIF分析の重要性が十分に高いことを確認した。
|