研究課題/領域番号 |
25770191
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
吉川 達 佐賀大学, 全学教育機構, 講師 (70599985)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ワーキングメモリ / リーディングスパンテスト / 日本語学習者 / 読解能力 / 予備教育 |
研究実績の概要 |
マレーシア人日本語学習者のワーキングメモリ容量を測定するためのマレー語版リーディングスパンテストを研究協力者であるマレーシア人研究者とともに開発し、完成した。開発に際しては、プレテストを実施し、何度か修正を加えた上で完成版を作成した。マレー語版リーディングスパンテストの開発については、吉川達・Zoraida Mustafa(2015)「マレー語版リーディングスパンテストの作成手順と実施結果の報告」『佐賀大学全学教育機構紀要』第3号に詳しく報告している。 それとともに前年度開発していた日本語読解テストを使用し、マレーシア人日本語学習者に対して2014年9月、マレー語版リーディングスパンテスト、日本語読解テストを実施した。両テストを実施した結果、追加調査として別の日本語読解テストを作成する必要が発生したため、その作成を行い、再度マレーシア人日本語学習者に実施した。 実験の結果、先行研究に見られるようなワーキングメモリ容量と読解能力の間に強い相関関係は見られなかった。その原因として考えられる要因がいくつかあり、今後はその可能性を一つずつ検証していく。 また、昨年度から交渉していた香港人研究者への研究協力依頼が受け入れられ、今後は漢字圏の日本語学習者として香港人日本語学習者を対象とした同様の調査を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は計画通り、大規模な実験を行った。その結果の解釈についてはさらに詳細に行う必要があるが、基本的な分析結果は出た。計画中であった香港人研究者との同種の研究がスタートしたことは、計画以上に進展した部分である。
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今後の研究の推進方策 |
実施した実験結果の詳細な分析を進め、原因を精査する。その上で追加の実験が可能であれば行う。また、香港人対象の同種の実験を具体的に進める。その際、マレーシア人日本語学習者に対して行った実験を基本とし、その結果と対照させられるような形で実験を進める。 分析済みの実験結果については、国内外の学会を通してその成果を発表する予定である。マレーシア人日本語学習者を対象にしたものは、マレーシアでの学会を発表の場とすることを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
香港の研究協力者との打ち合わせを行う予定であったが、相手研究者が日本に来る用件があり、その機会に打ち合わせを行ったため、研究代表者が香港へ渡航する必要がなくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
香港人日本語学習者への調査・実験準備に使用する。日本語能力を測定する読解テストはすでに開発済みであり、対象学習者には英語版のリーディングスパンテストを使用する予定であるため、実験準備にはそれほど経費がかからない見込みである。
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