日本語学習者を対象に実施した調査で得られた学習者の発話データの文字化作業、流暢さ指標の検証に向けたコーディング・ルールの検討、指標の妥当性検証のための準備を進めた。特に、コーディング・ルールは今後研究や教育現場への応用を提案する際に重要であるため、昨年度試験的に分析したデータに加え、異なる発話タスクで抽出したデータでの分析を行い、できるだけ評価者によるずれがないよう検討を行った。 また、近年注目されている学習者の発話や作文を対象としたコーパス研究やコンピューターを利用した自動採点・評価に関する研究等を概観し、これらの研究分野においても学習者の言語運用データを扱う際に何をどのように観察・数値化するかが極めて重要な観点であることが分かった。そのため、改めて本研究課題のニーズや応用可能性について検討し、学会での発表等を通して日本語教育関係者との意見交換を行った。今後は流暢さ指標の構成概念妥当性の検証に向けて分析を進めるとともに、研究や教育現場で応用するための提案を行っていく予定である。
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