研究課題/領域番号 |
25770202
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
内藤 稔 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (90507211)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 多言語 / 多文化 / 通訳 / コミュニティ通訳 / 相談 / 外国人 / 教材 |
研究概要 |
初年度に予定していたニーズ分析を行った。当初の予定通り、東京都庁や東京都国際交流委員会、児童相談センターなどの行政・自治体や市民団体、浜松国際交流協会や高知国際交流協会などの国際交流協会、多言語社会リソースかながわなどの特定非営利活動法人、関東一円の弁護士会計13団体から成る関東弁護士会連合会などの専門団体を含む、計24団体を訪問調査した。ニーズ調査の内容としては、用いられている通訳形態、対応言語、国籍、相談件数、相談内容である。 ニーズ調査の結果判明したのは、通訳形態としては、第一に3者間によるコミュニケーションを司る逐次通訳、次いでサイトトランスレーションが求められているということであった。対応言語は地域によって異なりはあるものの、英語や中国語などの大言語に限らず、タイ語、フィリピン語などの少数言語における適切な通訳・翻訳支援が求められていることが判明した。国籍についても、各地域によりばらつきがあるものの、昨今では技能実習生やEPA(経済連携協定)の広がりにより、アジア諸国を中心としてより多様性を見せていることが聞き取りから確認された。相談件数や相談内容についても、各行政・自治体や国際交流協会、専門団体により偏りが見られるものの、総じて在留外国人の外国人相談、及びその場における通訳・翻訳支援のニーズは潜在的なものも含め高まりを見せており、相談内容も在留資格に限らず労働問題、こころの問題、ドメスティックバイオレンス、児童虐待など、多岐にわたっていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、一定数の行政・自治体、専門団体などを訪問調査し、ニーズ分析を行った。データ収集後に予定していた、カリキュラムの見直しと教材の基礎となるこれらのシチュエーション分析に関して遅れがあるものの、既に大学の講義において、25年度に行ったニーズ調査の内容を試験的に反映するなど着手している。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に実施したニーズ調査の結果を踏まえ、実社会の要請に応えるコミュニティ通訳を養成するカリキュラムの改善、それを支える教材のあるべき姿を模索する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた海外出張が実現されなかった他、ニーズ調査に必要な情報収集を予想以上に効率的に実施できたため。 前年度予定していた研究発表を、海外の学会で発表することを検討している。また、ニーズ調査に基づいた教材の試作及びその多言語化にあたり、翻訳・校閲謝金が必要となるため、その費用として充てることを予定している。
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