本研究は小学校教員を目指す大学生が,外国語活動を指導することに対して抱いている不安を軽減し,指導への自信を高めるための方策として次の2つを実施し,その効果を検証するものであった。方策1)外国語活動の指導に必要な英語力の育成を目指した「指導者としての英語スピーチ」練習,方策2)ALT役の外国語人英語母語話者とのティーム・ティーチングによる模擬授業 方策1)の成果については,研究1年目に実践調査を行い,2年目にその結果を分析し,学生の「一般的英語力」および「学級担任としての英語力」の向上感に役立つこと,しかしながら「学級担任としての英語力向上に役立つ感」は「指導への自信」と関連が低く,自信向上のためには「一般的な英語力向上に役立つ学びをしている」という感覚が重要であることが明らかになった。教室内での話し方について,児童に向けての足場かけの工夫等が分かるだけでは不十分で,自信向上には英語力そのものの底上げが重要であることが示唆された。この結果は学会および学会誌において発表された。 方策2)については2年目に実践・調査を行い,3年目に結果の分析を行った。ALT役の英語母語話者との模擬授業実践は,学生の指導への自信向上に有効であることが明らかになった。学生同士による模擬授業では体験できない,実際の「つまづき場面」や「ALTの手持無沙汰感」などを実体験することができたことが有効であったと思われる。また,ALTとの模擬授業は実践した者と参観しただけの者がいたが,両者の自信や不安感に差は見られず,参観を通してでも一定の学びを得られることも示された。同時に,本研究からは「ALTとのTTへの自信」と「英語力への不安」には関係があることも分かり,やはり指導者の英語力向上は重要な課題であることが改めて確認された。この成果は学会および学会誌において発表された。
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