研究課題/領域番号 |
25770205
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
山本 五郎 広島大学, 外国語教育研究センター, 特任准教授 (60613015)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | TESOL / コーパス / 語彙学習 / 語彙リスト / 話し言葉コーパス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、英語でのオーラルコミュニケーション(口頭での言語運用)と英単語の多義性に焦点を当てた学習用語彙リスト及び自立学習支援システムを構築することである。語彙リストの作成にあたり、英語映画のスクリプトをデータベースにした話し言葉コーパスを構築する。コンコーダンサによる話し言葉コーパスの分析および文部科学省認定の中学・高校の英語教科書で採用されている語彙との比較などを踏まえ、学習者用語彙リストを作成し、これをもとに語彙学習用システムを開発する。 コーパスの構築に関して、話し言葉のデータソースとしては様々なメディアの活用が考えられるが、実務的な実行可能性や作業効率、また多様な状況での話し言葉データが取り込めると言う点から本研究では英語映画に特化したコーパスの構築を目標としている。このため、DVDメディアを用いて、英語映画のスクリプトを元にした話し言葉コーパスの構築を主軸に据え、初年度から話し言葉コーパスの構築に取り組んできた。 学習者用語彙リストの開発に関しては、話し言葉コーパスを基にコンコーダンサ(テキストコーパスの分析用ソフト、本研究ではAntConcを使用)を用いて会話における出現頻度順の語彙リストを作成した。これを中学校・高等学校教科書に現れた英語の語彙に関する先行研究と比較することで、英語でのオーラルコミュニケーションに焦点をあてた語彙リストを作成中である。 研究実績として、2000年度の中学学習指導要領で指定されている必修語との比較分析については、「話し言葉コーパスを用いた中学基本語彙の分析」として論文にまとめた。 また、語彙学習システムの開発に関しては、PCだけではなくスマートフォン等の携帯端末でも使用可能なWBT教材の活用と課題について研究を進め、複数の学会で研究発表及び実践報告を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
英語の話し言葉コーパスの構築及び話し言葉コーパスに基づいた語彙リストの作成についておおむね順調に進展している。 話し言葉コーパスの構築と語彙リストの作成については、話し言葉コーパスをもとに日常会話で高頻度に出現する語彙を頻度順に抽出、整理し、これを文部科学省検定済の英語の教科書で必修語として選定されている語彙群と比較することでその特性について明らかにする研究を進めた。 本年度の研究では、特に2000年度の中学学習指導要領で指定されている必修語507語との比較に焦点を当て「話し言葉コーパスを用いた中学基本語彙の分析」として論文にまとめた。 また、語彙学習システムの構築についてもスマートフォンのような携帯端末での使用も可能なWBT教材についての特性と運用上の課題について研究活動を順調に進めており、複数の学会での研究発表及び実践報告を行った。 コーパスの構築及び、語彙リストの作成にあわせて、最終年度に計画している語彙学習システムの構築へ向けた準備も進んでいるため「(2)おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
話し言葉コーパスの構築については、引き続きデータを増やす作業を続けるとともに、話し言葉における高頻度出現語彙の分析を範囲を広げて行う予定である。コーパスデータの整理については、初年度と二年目は作業効率を重視して、PCでのソフトウェアを使用したデータ取り込みを行ったが、最終年度は研究補助をつけてデータの整理、ソフトウェア(CaptionDVD)では取り込めないデータの取り込み等を行う予定である。 語彙リストの作成については、二年目で対象とした2000年度の中学学習指導要領で指定されている必修語507語から塩見(2002)の研究を元に分析対象の幅を広げ、日本人学習者が中学・高校の教科書で学ぶ語彙と話し言葉コーパスの比較分析を行い、話し言葉の語彙特性についての研究を進める。 また、これを元にスマートフォン等の携帯端末での利用も可能なWBT教材(Memrise)を利用して語彙学習システムを構築する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
話し言葉コーパス構築のためのデータの取り込み及びデータの整理のために申請していた研究補助用の人件費を使用しなかったため次年度使用額が生じた。 特にデータの取り込みについては、研究補助による手作業とパソコンでのソフトを用いた作業を平行して行うよりも、パソコンのみで処理できるものを優先したほうが作業効率が高くなるため研究補助の人件費を持ち越した。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度に、これまでパソコンによるデータの取り込みができなかったもの、また取り込んだもののノイズが多い字幕データの修正、整理に関して逐次研究補助を依頼し、コーパスの構築を完了させる予定である。
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