今年度は主に以下の2点に注力して研究を進めた。 ①コミュニケーション英語Ⅱの教科書を用いた縮約版試作 平成25年度,26年度に行ったコミュニケーション英語Ⅰ,Ⅱの教科書分析結果に基づいて,今年度はコミュニケーション英語Ⅱの教科書(複数)のレッスンを用いて縮約版の作成を試みた。コミュニケーション英語Ⅰの教科書と比べて1レッスンあたりの本文の分量が増える傾向にあるが,新出の文法事項を含む英文の割合はコミュニケーション英語Ⅰの教科書と大差ないため,コミュニケーション英語Ⅰの教科書の縮約版作成の場合と同様の手順で作成可能であることがわかった。縮約版作成の際に間引くことができる可能性が高い英文として,(a)情報の繰り返しや重複が見られる英文,(b)例示のための英文,(b)読者への呼びかけや問いかけといった修司疑問文的な英文が挙げられる。また,一文あたりの語数が20語以上の英文については,(a)修飾語句や挿入句を削除する,(b)複文の場合は主節のみを残すか,主節と従属節を分割して2文に書き換える,等の手を加えることで,縮約版にふさわしい英文に書きかえることができる。 ②縮約版の「読みやすさ」の評価 上に述べたような手順で作成した縮約版が導入教材として適切なものであるかを評価するために,元の文章と縮約版のReadabilityを比較し,「読みやすさ」がどの程度変化するかを検証した。また,高校教員による主観評価も行い,教材としての有用性を確認した。
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