「インプット→学習者の語彙・統語知識→英語各スキル」の関係について、最終年度では、大学生英語学習者を協力者として調査を行った。該当の大学生(2015年度以前入学の高校旧課程修了者)が経験した教科書における単語、及びその単語が他の単語と共起する頻度が、学習者の語彙・統語知識にどのように影響するかについて、①品詞、項構造知識の紙媒体による調査(選択課題)・②単語知識の紙媒体による調査・③統語知識の紙媒体による調査(並べ替え課題)・④オンラインにより英語語彙サイズテスト・⑤単語を提示して文の一部を完成する反応時間を見る心理言語調査・⑥リーディング・リスニング2技能の外部テストを、調査者が所属する大学の学生53名に依頼し行った。なお、協力者には、参加謝礼を支給した。 データが膨大であるため、現在も分析中であるが、今後は研究目的の完遂のため、各技能の使用に必要な学習者の知識と教科書インプットの量的な関係を明らかにして、教科書における適切なインプット量を算出する予定である。また、算出したデータを元に、効果的な英語教育の実現を目指して、学習教材についての各提言を行う予定である。 また、高校新課程・旧課程の教科書について、電子化・コーパス化の上、分析を行った。そこでは、新課程の教科書では、(分析手法によって)旧課程よりも89語、または158語の習得語彙増加が見込まれることが示唆された。この結果について、大学英語教育学会リーディング・英語語彙・英語辞書研究会合同フォーラム(2017年3月4日、早稲田大学)にて発表し、また、久留米大学外国語教育研究所紀要第24号に掲載した。
|