研究課題/領域番号 |
25770215
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
下 絵津子 近畿大学, 総合社会学部, 准教授 (90364190)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 英語教育 / 日本の大学英語教師 / 教師ビリーフ |
研究概要 |
平成25年度は、1)質問紙調査用の質問項目の作成、2)1)を利用した予備調査の実施、3)予備調査の結果分析から質問項目の吟味、4)3)をもとに本調査用質問紙作成を予定していたが、1)~4)の予定を1)~3)までは遂行、4)については、平成25年度末現在最終作業にとりかかっており、平成26年度5月から本調査(質問紙調査)が開始できるよう、準備をすすめている。 平成25年度の重要な作業は、特に予備調査の実施であった。予備調査は、当初の予定通り、研究実施者が所属する大学学部の英語プログラムで教える教師を対象に行った。調査は、29名の教員に依頼し、17名の教員から回答を得た(回答率:58.6%)。本調査で使用する質問紙を作成するために必要な質問項目の吟味にあたっては予備調査が必須であり、小規模の調査であったとはいえ、その意義は大きい。研究は英語母語話者教員と日本語母語話者教員のビリーフ比較を目的としており、それぞれが母語で回答できるよう、英語版、日本語版両方のアンケートを用意しているが、予備調査の実施により、アンケート項目の英語・日本語の表現上の問題が明らかになった。また、予備調査は、英語母語話者教員と日本語母語話者教員のビリーフ比較に関して重要な観点が何であるか、そして、より多くの回答を得るためにできるだけ簡易な回答形式にするためにはどのような工夫が必要か、といった点について、非常に役立つ情報を提供するものとなった。 なお、予備調査用の質問票の作成にあたり、教育一般における教師認知や教師ビリーフ・学習者ビリーフの研究に関する文献等を収集し、ビリーフの定義づけや第二言語教育における過去のビリーフ研究を考察した。その考察内容と予備調査の分析結果は論文にまとめた(発表論文参照)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記「実績の概要」で報告の通り、予定していた4項目:1)質問紙調査用の質問項目の作成、2)1)を利用した予備調査の実施、3)予備調査の結果分析から質問項目の吟味、4)3)をもとに本調査用質問紙作成のうち、1)~3)を遂行、4)についても最終作業に取り掛かっているところであるので、おおむね順調と判断される。 予備調査の質問項目作成に当たっては、Horwitz作成のBALLI (The Beliefs About Language Learning Inventory)、そして、Sakui & Gaies (1999)のアンケート項目を見直し、それをもとに項目を作成した。質問項目は、研究計画で予定していた以下の観点から作成した:ア)学習者にはどのような能力があると思うか、イ)学習者はどのような能力を伸ばしたいと考えていると思うか、ウ)学習者はどのような活動を求めていると思うか、エ)学習者は語学学習とはどのようなものだと考えていると思うか、オ)学習者はどのように学習にアプローチしていると思うか。また、特にア)に関連するが、学習者のメタ認知能力についても対象とした。具体的には、学習者オートノミー(学習機会をつくる能力、学習を計画する能力、学習能力を振り返る能力、学習過程を振り返る能力等)に関連した項目を取り入れた。 予備調査の結果の分析をもとに、質問項目の修正を行い、現在、本調査用の質問紙の作成がほぼ完了する段階であり、ほぼ予定通りに研究をすすめているところである。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の計画では、平成26年度は、1)質問紙調査による本調査の実施、2)本調査の結果分析、3)調査結果の背景・原因探求を目的としたインタビュー調査(フォローアップ調査)の実施を予定、平成27年度には1)調査結果の背景・原因探求を目的としたインタビュー調査(フォローアップ調査)継続実施、2)研究のまとめを予定している。この行程に大きな変更はなく、平成26年度はまず、主な作業である本調査のうちの質問紙調査に取り掛かる。 なお、質問紙調査については、当初の計画ではマークシートリーダーを利用する予定であったが、1)質問の内容から単純なマークシートリーダーで収集しにくい項目があること、2)より簡易な回答法を選択できるようにすることで、回収率が上がる見込みがあることから、インターネット上・紙面で記入式の質問紙を併用することとした。日本の大学で英語を教える教師が調査の対象であるが、できるだけ多くの回答を得られるよう、学会発表の際に直接、あるいは、メール・郵送の両方で依頼する予定である。 本調査の質問紙調査は5月~7月を予定、その分析を8月以降と予定しているが、回収の状況によっては質問紙調査を秋まで延長し、分析をそれ以降に遅らせることも検討する。インタビュー調査については、質問紙回答の際に、協力のお願いを呼びかける。27年2月・3月にインタビュー調査参加者への連絡を開始する予定である。時間・予算上の制約により平成27年度にむけてのインタビュー実施が困難な場合には、メールによる質問・回答の利用も検討する。
|