研究課題/領域番号 |
25770215
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
下 絵津子 近畿大学, 総合社会学部, 准教授 (90364190)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 日本の大学英語教師 / 教師ビリーフ / 質問紙調査 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、1)質問紙調査による本調査の実施、2)本調査の結果分析、3)調査結果の背景・原因探求を目的としたインタビュー調査(フォローアップ調査)の実施を予定していた。1)については、前年度に実施した予備調査の質問項目をもとに質問項目・内容を整理、改善、改訂し、英語版・日本語版の質問紙をオンライン版・紙版と用意し、平成26年度5月~8月に調査を実施した。オンライン版はメールやSNSサービス等を利用して調査を依頼、紙版の質問紙は関係の大学英語教員のメールボックスに投函、あるいは大学英語教育学会(JACET)の会員名簿を利用して、メール便等で依頼するなどして1000件以上の依頼を送付した。その結果、約370件の回答を得ることができた。 2)については、現在行っているところである。予備的分析によると、日本語母語(第一言語:L1)話者教師のほうが英語母語(第一言語:L1)話者教師よりも学生の英語力判断が厳しいことや、学習者中心の教室を学生が好んでいると捉えている傾向が強かったことなどが示された。学生の性格・態度についても、両者間で差異がみられた。データ量が非常に多く、分析は一部のみ終了したところである。その為、3)のインタビューは平成26年度中には行っていない。 平成26年度の質問紙本調査や前年度に行った予備調査の質問項目開発や実施方法については、平成26年12月にシンガポール国立大学で開催された「第6回言語研究センター国際大会(略称:CLaSIC)」で発表し、報告書にもまとめた。また、前年度実施の予備調査については平成26年8月にJACET国際大会でその内容を発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記「実績の概要」で報告の通り、平成26年度に実施予定だった3項目(1)質問紙調査による本調査の実施、2)本調査の結果分析、3)調査結果の背景・原因探求を目的としたインタビュー調査(フォローアップ調査)の実施)のうち、1)については予定通り行い、2)については現在進行しているところである。3)の実施は平成27年度夏以降になる予定だが、本研究の重要な部分については問題なく進めているので、(2)おおむね順調と判断した。 現在、本調査で回収された374件の回答のうち、英語・日本語の母語(第一言語)話者以外の回答、および、質問紙回答の条件を満たしていない回答を除いたうえで、分析を進めている。分析は、学生の(ア)性格や英語学習に対する態度、(イ)英語能力、(ウ)教室での英語の使用に関する好み、(エ)学習・教授スタイルについての好み、(オ)英語学習の動機、そして(カ)学生がどのように英語(あるいはほかの言語の)学習に取り組むべきと思うか、というカテゴリーに分けて進めている。現在、(ア)・(ウ)・(エ)に関して、英語母語(第一言語)話者教師グループと日本語母語(第一言語)話者教師グループの2グループ間で比較をし、結果をまとめている。 データの内容が多く、また、現在は母語(第一言語)のみを基準に2つのグループに分けて比較をしているが、教えている学生の専攻等を利用して分析対象グループを再編することで変数を減らしての分析をすることも検討している。そのため、研究過程の3)への移行が予定より遅れているが、3)のインタビューのためにより的確な質問項目を準備するため、入念な分析が必要と判断する。また、インタビューの目的は、調査結果の背景・原因探求であるが、データを様々な観点で分析することで、その目的が果たせる可能性もあるので、慎重に行いたい。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の計画では平成26年度は、1)質問紙調査による本調査の実施、2)本調査の結果分析、3)調査結果の背景・原因探求を目的としたインタビュー調査(フォローアップ調査)の実施を予定、平成27年度には1)調査結果の背景・原因探求を目的としたインタビュー調査(フォローアップ調査)継続実施、2)研究のまとめを予定していた。研究の順序としては予定した通りに進める。平成27年4~7月、また、必要であればそれ以降も、本調査の結果分析を進める。インタビュー調査については、実施する場合は平成27年8月以降の予定とする。 本調査のデータについては、上記で説明の通り、英語母語(第一言語)話者教師と日本語母語(第一言語)話者教師間で比較分析しているところだが、設定したカテゴリーについて比較すると同時に、グループ内での変数を減らしたうえで新たなグループ分けを行って比較することも検討したい。そうすることで調査結果の背景・原因につながる要因が探求できると考えられる。多様なデータ分析方法を用いることで、インタビュー調査の目的をある程度達成することが出来る可能性があるため、データ分析を特に重視する予定とする。 ただし、分析から導かれた内容について、インタビュー調査で確認することの意義は大きい。(1)学会発表の際に関係者に協力を依頼するなどして効率的に実施する(場合によってはメールやスカイプ等を利用する)、あるいは(2)平成28年度以降の研究プロジェクトとして設定することなどを検討したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
関連図書の購入を平成26年度に引き続き平成27年度でも予定しており、年度をまたいでの図書発注が必要となったので、来年度予算に繰り越すこととした。
|
次年度使用額の使用計画 |
繰り越し分は関連図書購入費に充てる。
|
備考 |
大会報告書のpp. 441~450執筆。 <タイトル> Exploring Japanese University English Teachers' Beliefs about their Students: Questionnaire Development and Implementation
|