研究課題/領域番号 |
25770230
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小関 悠一郎 千葉大学, 教育学部, 准教授 (20636071)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 明君 / 経世理念 / 藩政改革 / 仙台藩 / 熊本藩 / 大名評判記 |
研究概要 |
本研究は、近世中期の藩政改革(18世紀後半に諸藩で広く行われた政治改革)において強調されるようになった政治理念(「明君」「富国」「教化」などの経世理念)が、近世後期にかけての政治改革で果たした役割、及び人々の政治意識・政治論に及ぼした影響、これらの解明を目的とするものである。 本年度はまず、本研究で中心的な考察対象の一つとした熊本藩について、同藩主細川重賢を描いた明君録の調査を進め、明君録に表現された(藩主から家老以下への政務の)「委任」、「風俗」(教化)などの理念が、次代の藩士らに継承されて政治的な意味を持ったことを明らかにした。研究内容については、シンポジウム「日本近世の領国地域社会―熊本藩政改革を焦点に―」(於熊本大学)において研究発表を行った。次に、もう一つの中心的考察対象に設定した仙台藩について、宮城県図書館等において行った資料調査に基づき、近世中後期仙台藩の藩士・学者の学問的活動について検討した。藩士らの学問的活動が仙台藩の「教諭」政策に結びついていくことを明らかにした研究内容は、すでに原稿化済であり、次年度発表予定である。また、日韓歴史共同研究大会(於翰林大学校、大韓民国)における佐藤宏之氏との共同発表「“大名評判記”にみる近世日本の大名像―「東アジア近世」論をめぐって―」は、近世における大名像の特色や機能を考察したもので、近世前期からの大名像・明君像の形成と変容についての見通しを示したものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
宮城県図書館・永青文庫(熊本大学)等において、計画していた史料調査を実施した。また、調査に基づいた研究を実施し、その成果をシンポジウム等で発表するとともに、次年度以降、論文として発表するための具体的手続きを進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
申請時に掲げた以下の具体的課題(①理念共有の媒介として重要な意義を有する経世書と明君録の写本・刊本の悉皆調査による経世理念普及の実態解明。②特定地域を対象とする、書物・理念の受容と政治改革との関連性の実態的検討)に即して、研究を着実に進めていきたい。なお、①について一定度調査が進んでいること、また、当時の政治過程・社会的葛藤の実態を踏まえて研究を進めるため、次年度は②の方により重点を置いて作業を進めたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
熊本大学等の協力により、調査旅費が低く抑えられたため。 調査旅費に充当するものとする。
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