本研究の具体的な研究活動は3つの柱で構成される。①日明関係史料群の調査と翻刻、②中世日朝関係のなかで輸入されてきた大蔵経の所在調査と関連史料調査、③日朝日明関係に深く関わった西国の大名大内氏の在京活動の検討。 柱①については第一に、「策彦入明記録及送行書画類」所収の未翻刻史料の一つを解題を付して公刊した。またそれに際し同史料群について補足調査を行い、原本情報に関わるデータを整えた。第二に、日明関係史料の裾野を拡げるのに貢献した倭寇図巻研究の成果をとりまとめ論文集を刊行した。なお同書については中国語版の出版計画も進行中である。第三に、所属機関に所蔵される前田玄以宛明国兵部箚付について、国内ほか二カ所に所蔵される同時期に発給された箚付2通との比較のもとに検討し、これを学会報告し、ついで論文にとりまとめた。なお同史料は、その後重要文化財に指定されるべく2017年3月に答申された。第四に、日明関係史料が多く含まれる未紹介文書群について解題をつけて翻刻を作成した。 柱②については別科研とも連携し、幾つかの大蔵経について昨年に続き基礎的調査を続行し、重要な知見を得た。 柱③については、貴族の日記の翻刻を通じ時代に関わる基礎史料研究を行った。
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