「鎖国」や「海禁」といった用語で説明されるような徳川幕府による対外的規制を骨抜きにしていた境界領域の人々(境界勢力)の行動様式に着目し、彼らが構築していた政治社会と国家権力との関係性を分析することで、境界領域からの視点で近世の国際関係をめぐる国家史的理解を再構成し、前近代の東アジア海域におけるトランスナショナルな交流・接触のあり方の歴史的特質について解明した。 とりわけ、密貿易(抜荷)の具体像と、その担い手の行動様式の分析に重点を置き、彼らの視点から「鎖国」貿易体制が機能不全に陥った歴史的過程を解明することができた。
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