研究課題/領域番号 |
25770243
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
阿部 裕樹 明治大学, 公私立大学の部局等, その他 (40625266)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 鳥取藩 / 士族 |
研究概要 |
平成25年度は、史料の収集、先行研究の整理、関係各地の巡見などを実施した。まず、史料収集では、鳥取県立博物館所蔵「鳥取藩政資料」のうち、「藩士家譜」や「家老日記」について収集を進め、特に家譜について重点的に収集作業(撮影・筆写による)を行った。本研究は、できるかぎりの悉皆調査を目指しており、およそ1600家ある「家譜」の大半は撮影までを終えた。今後は、「家譜」の分析と、残された「家老日記」等の収集に努めたい。また、おもに鳥取県や北海道の広い意味での地方(郷土)史関係業績に、本研究の参考となる論考、文献を発見した。 先行研究の整理作業では、まず当初から把握していた関係自治体史や先行業績などを再点検するとともに、鳥取県立博物館や鳥取市歴史博物館学芸員などの、鳥取における藩政史や近代史の研究者とコンタクトを取り、研究方法や史料の所在などについてご教示を得た。また、基礎的な作業として、史料集として刊行されている『贈従一位池田慶徳公御伝記』・『鳥取藩史』を購入し読み込み(分析)を始めた。また、調査の過程で発見した研究業績については、順次内容の検討・分析を進めている。 関係地の巡見では、鳥取県同米子市、同日野町、北海道岩見沢市、同釧路市、根室市、同足寄町などの関係地や、関係子孫などを訪ねた。例えば、釧路市の鳥取地区は、多数の鳥取士族が移り住み開拓された。地名はもちろん、移民たちが、例えば現在まで続く鳥取神社を創建するなど、現在でも開拓の足跡を多数発見することができた。一方、同様に多数の士族移民があった岩見沢市の旧入植地は、都市再開発のため、現在では記念碑以外にその形跡を見いだせなかった。こういった違いも興味深かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の本研究の目的は「幕末期の鳥取藩士の動向調査」(計画調書より)である。内容は史料収集とその読み込み(分析)である。前者については、特に藩士家譜の収集の大半を終えたので計画(期待)以上といえるが、その他の史料収集は計画(期待)以上の成果があったとはいえず、おおむね計画どおりである。また後者は、家譜については計画(期待)以上に進んでいるが、その他の史料については手つかずに近い状況で、計画(期待)よりやや遅れている。以上を総合的に考えれば、おおむね計画どおりといえるが、本研究の基礎となる藩士家譜の分析が、進んでいる点は強調しておきたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、さらに史料収集や巡見を実施するとともに、平成25年度に収集した史料の読み込み(分析)や、調査・研究の成果のとりまとめを進める予定である。史料収集は、平成25年度はおもに藩政時代のものを中心に進めたので、廃藩置県後のものにシフトしたいと考えている。分析に際しては、統計的な処理を施し、できるだけ客観的な結論を導けるよう心掛けたい。 また、本研究を通じて収集した史料は、本研究終了後も研究活動をさらに進めるため(本研究終了後も活用できるよう)、整理して保存する。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費のうち宿泊に伴う出費を計画より低く抑えることができたため 旅費として活用する
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