〔研究目的〕本研究の目的は、近代日本における若者の政治運動を、「地域」(地域青年党運動)と「帝国」(植民地期台湾における議会設置請願運動)、いわばミクロとマクロの観点から捉え直し、「中央」(「院外青年」運動)に関する知見との総合を図ることにあった。 〔研究方法〕上記のうち、地域青年党運動に関する研究を〈基幹的研究〉、台湾議会設置運動に関する研究を〈発展的研究〉とそれぞれ位置づけ、さらに前者を、①文献調査(先行研究・自治体史等からの事例の抽出作業)と②事例研究に、後者を、①文献調査(研究史整理)と②史料状況把握にそれぞれ細分化して研究を進めた。平成26年度は、なかでも〈基幹的研究〉の②、〈発展的研究〉の①②に取り組んだ。 〔研究成果〕地域青年党運動の事例研究としては、平成25年度の調査によって盛んな活動実態が明らかとなった愛媛県を対象として、二度の史料調査を行った。具体的には、大正期~昭和初期に行われた衆議院議員総選挙(第12回~第16回)に際して、地域青年党の活動がどのように報道されていたのかを、党派を異にした複数の地方紙を悉皆調査することで確認した。その結果、特に第15回総選挙(1924年)において、地域青年党の簇生・運動が際立っていたことが明らかとなった。また、この事例調査とは別に、当初の計画において調査対象としていた日本海青年党連盟(特に石川県地域)について、先行研究の調査と史料状況の確認を行い、今後の調査の基盤を整えることもできた。 台湾議会設置運動については、主要先行研究の調査を終え、現在、史料状況の把握を進めているところである。それと関連して、平成25年度に翻訳を委託した植民地期朝鮮における「青年」概念の変遷を扱った博士論文についても、同様に検討を進めている。
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