研究課題/領域番号 |
25770249
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 飯田市歴史研究所 |
研究代表者 |
北村 安裕 飯田市歴史研究所, その他部局等, 研究員 (50646263)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 地域連携 / 情報集約 / 機関連携 |
研究概要 |
今年度は、東山道諸国における地域の様態を復元するために、信濃国における交通と地域社会の関係について考察を進めた。具体的には、①古代の諏訪地域の交通上の位置づけ、②奈良時代に信濃国周辺に敷設された道路の具体層とその意義、③伊那郡における東山道の具体的な経路と地域社会における役割、などについて検討した。その結果、①については、諏訪地域が主要な交通路の交差する地点にあたり政治・経済・軍事的な要地であったこと、奈良時代に一時期諏方国が置かれたことは、諏訪地域の交通上の位置と密接な関係にあったことを明らかにした。②に関しては、信濃国とその周辺に道路が敷設されたことが当時の中央政府の地方改革の一環であったことを述べた。③としては、これまでと異なる東山道の経路を提示した上で、伊那郡の豪族たちの結束の上で東山道の存在が重要な役割を果たしていたことを論じた。これらの論点に関連して、8月24~25日に開催された飯田市歴史研究所地域史研究集会において、「古代の交通と地方社会―イナ・シナノとその周辺―」と題する特集シンポジウムを企画・運営し、外部の研究者や研究機関と連携しながら、信濃国を中心とした東山道とその周辺地域(上野・甲斐・美濃など)の地域的特性について明らかにすることを試みた。これとは別に、比較事例として筑後川流域地域における古代の大土地経営体と交通の関係についての研究も実施した。地域情報については、六国史や『類聚三代格』『延喜式』などの法制史料を中心とした調査を行い、1000件程度のデータを収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
信濃国の特性について、10郡全体を検討するにはいたらなかったが、諏方郡と伊那郡について当初の計画より深い考察を施すことができた。全体からみれば、東山道諸国の地域的特性について当初計画以上の知見をえることができた。また、史料の収集については、当初の予想以上のデータを集めることができた。遺跡および出土遺物に関するデータの収集についてが課題として残っているので、26年度以降重点的に進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
研究機関が岐阜県岐阜市に所在する岐阜聖徳学園大学に移行した。これにともない、研究の重心を美濃・近江に移す(当初計画でも26年度の課題は美濃・近江としている)。これらの地域におけるフィールドワークと情報の集積を重点的に行っていくことにしたい。前年に進めた信濃国に関する研究も継続する一方で、得られた成果を美濃・近江地域に関する考察に活かしていく。史料からの情報の集積は、順調に進行しており、これまで通り継続する予定である。具体的には六国史の残りの部分とともに、各自治体史からの集約も進めていきたい。また、遺跡および出土文字資料については課題として残されており、方針を再度策定して収集にあたることにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
購入予定の書籍が入荷待ちの状態であったため。 購入予定の書籍代に充てる。
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