本研究では、18-20世紀初頭のフェルガナ盆地におけるムジャッディディーヤの拡大の過程と他のナクシュバンディー教団の勢力との関係を、マザールでの聞き取り調査と民間所蔵史料の分析によって検討した。 ムジャッディディーヤのフェルガナ盆地での発展には、ダフベード派が決定的な役割を果たしたことが確認された。その特徴は、当時のタリーカに一般的だった世襲の後継ではなく、師弟関係による後継である。一方で旧来の勢力マフドゥームザーダも社会的影響力を保持していた。ナクシュバンディー教団の諸派は地域社会においてなんらかの共存関係にあったと考えられる。
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