朝鮮開港後、1880年代半ばからソウル・仁川を中心に渡航した華商によって、朝鮮の対中国貿易は急速に増加した。これら華商の活動によって、この時期の朝鮮は、広域的なアジア市場の一部に位置づけられることになった。本研究では、これまで解明されてこなかった彼らの貿易決済の方法と、その国内外の条件を検討した。具体的には、朝鮮華商同順泰の経営史料の分析を通じて、上海からの輸入商品に対する送金が、中国・朝鮮・日本に跨る多角的な華商ネットワークを通じて行われたこと、また、ロシアおよび日本がこの地域に散布した各種通貨の流通も、こうした華商の貿易決済システムの影響を免れなかったことを明らかにした。
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