1、古典期のミーレートスは、大ポリスアテーナイとの関係を良好にするため、イオーニアー植民の神話を自ら、アテーナイとの外交上巧みに利用し、周辺他国との差異化にも利用していた。2、これに対して、同じくイオーニアー人意識を共有していたアテーナイは、前五世紀に帝国化する中、自ら「土地生え抜き神話」を生み出したが、知識人はこれに戸惑いを覚えていた。(3)ヘレニズム期、ミーレートスは、イオーニアー人意識よりもむしろ、神域ディデュマをめぐる古い神話、アポッローンの神話などを新たに語り始める。周辺諸都市と競合しつつ、ヘレニズム諸王の好意を得るため、神域ディデュマが外交上有効な文化資本だったためだと考えられる。
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