• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

中世・近世アイヌ文化における内耳土鍋の考古学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 25770274
研究機関北海道大学

研究代表者

鈴木 建治  北海道大学, 文学研究科, 共同研究員 (00580929)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワードアイヌ / 内耳土鍋 / 北海道 / サハリン島
研究実績の概要

平成27年度の研究実績については、平成26年に引き続き、内耳土鍋の付着物を使ったAMS14C年代測定と炭素・窒素安定同位体分析の実施、これまでの集めたデータの総合的な検討を挙げることができる。本年度は、市立函館博物館所蔵の北海道・サハリン島出土の内耳土鍋資料6点(完形2点、土器片4点)を実見調査した。調査した資料6点のうち、土鍋付着物が採取可能であった2点について、AMS14C年代測定と炭素・窒素安定同位体分析を実施した。また、昨年度分析した稚内市北方記念館所蔵資料1点について、正確なデータを得ることができなかったことから、再度付着物を現地で採取し分析を実施した。
平成27年度に得た年代とこれまで得られた年代に関するデータを総合的に検討すると、下記の3点がわかった。
1.東北地方北部から北海道道南部に入ってきた内耳土鍋文化は、北海道最北端部である稚内へは11世紀前半~12世紀中頃には到達していたことが判明した。その年代観 は、道南地域と大きく変わらないことが理解され、内耳土鍋文化が北海道内に急速に拡散した状況が想定できた。
2.内耳土鍋文化は、11世紀中頃~13世紀初頭にはサハリン島に到達しており、更にサハリン島における内耳土鍋分布の最北端地域にあたるポロナイスクへは13世紀代には到達していることがわかった。従来の年代観より古くなることが判明した。
3.年代的に新しい形態的特徴を持つ内耳土器と考えられていた資料が、想定よりも古い年代を測定した。今後は検討資料数を増やし、その検証をおこなう必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成27年度の研究計画では、平成26年度から継続する①「形式学的分析による編年と地域的特徴の再構築作業」と②「遺跡内空間分析による内耳土鍋をめぐる人間行動の復元作業」に加え、土鍋付着物を使った③「AMS14C年代測定による絶対年代からみた編年案の構築」と④「炭素・窒素安定同位体分析による古食性復元作業と土鍋利用復元作業」に着手する予定であった。
本年度は、北海道北部とサハリン島に焦点を当てて、①③④の計画に関して検討を実施した。しかし、③と④に関しては、検討が不十分であったため、申請時の計画よりやや遅れていると考えている。

今後の研究の推進方策

今後の研究の推進方策としては、平成27年度の研究実績において明らかにされたサハリン島の内耳土鍋出現期の年代の検証を実施する。平成27年度までに実見できなかったサハリン島出土資料に対し、AMS14C年代測定と炭素・窒素安定同位体分析をおこない、平成27年度の研究実績で得られたデータを補強する。
また、内耳土鍋の未報告資料が国内外にまだ存在すると考えられるため、引き続き情報を集め、実見による資料調査を続けていく。

次年度使用額が生じた理由

年度末の3月に納品になった経費が翌年度4月支払いとなったため。

次年度使用額の使用計画

既に支出済み。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 千島アイヌに渡った陶器2015

    • 著者名/発表者名
      鈴木建治
    • 雑誌名

      北大史学

      巻: 55 ページ: 1-12頁

    • 謝辞記載あり
  • [学会発表] 北海道北部・サハリン島における内耳土器の出現期の再考2016

    • 著者名/発表者名
      鈴木建治
    • 学会等名
      2015年度北海道考古学会月例研究会
    • 発表場所
      北海道大学(北海道札幌市)
    • 年月日
      2016-02-20 – 2016-02-20

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi