研究課題/領域番号 |
25770278
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
中村 耕作 國學院大學, 文学部, 助手 (30548392)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 儀礼 / 竪穴住居 / 廃棄・遺棄 / 出土状況 |
研究概要 |
研究計画に従い、1:長野県・山梨県を中心に縄文時代中期集落遺跡の発掘調査報告書にもとづいて出土資料のデータベース化、2:出土状況の詳細なコンテクスト分析のための前提となる先行研究の収集・検討、千葉県内廃屋墓の事例集成を行った。 1は、本研究の題目ともなっている祭祀儀礼道具の「セット関係」を抽出する目的で実施したものであり、一定数の竪穴住居について出土状況の詳細な記録のある発掘報告書を選定し、住居床面・覆土・柱穴などの層位ごとに出土遺物の点数を集計した。これらのデータは試験的に多変量解析を実施したが、各要素が複雑すぎたためか有為なデータとして提示できる状態には至らなかったため、当初予定していた論文執筆を延期し、集計項目を再検討中である。また、当該期の儀礼具の1つである顔面装飾付土器・釣手土器についての再検討結果を論文にまとめた。 2は竪穴住居空間において実施された儀礼およびその前後の行為・プロセスを復元するため、焼失住居を含む覆土形成過程や竪穴の新築・改築・廃絶に係る考古学的研究、民族学的研究、民族建築学的研究に関する先行研究を収集、検討した。また、竪穴における具体的な儀礼の1つである廃屋墓(廃屋葬)の事例を集成し、覆土や柱穴との位置関係を検討した。これらの検討によって、竪穴が廃絶された後も一定期間上屋が存続した可能性や、一次埋没後までを一連の儀礼プロセスとして捉えて検討すべきことを確認した。 このほか、当該テーマに関連するテーマを扱っている若手研究者を招いた研究会を2回実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料解析については、資料が予想以上に多様であったため再検討中であるものの、資料収集は当初予定以上に進んでおり、全体的な達成度においては順調である。
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今後の研究の推進方策 |
資料収集は当初予定通り継続して実施する。初年度に課題となった分析の提示方法については、分析項目や分析範囲の再検討によって、よりわかりやすい形で提示できるよう改善につとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画においては、データ収集・解析にもとづく結果をもとに、現地での資料見学とあわせて研究会を開催する予定であったが、データ解析が公表できる水準に至らなかったため、旅費ならびに研究会に係る謝金の支出額が減額した。 前年度実施できなかった資料調査を行うとともに、アルバイトを雇用しての資料収集の範囲を拡大することによる基礎データの充実をはかる。
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