アンデス中央高地において紀元前1000-500年に栄えたカンパナユック・ルミ神殿の発掘調査を行い、神殿を中心とした社会の成立過程をこれまで注目されなかった居住域の調査を通じて考察した。その結果、居住域と神殿での儀礼が相互に不可分なものであり、人々の生活と神殿での儀礼が密接に関連していたことが判明した。また、神殿の成立と遠隔地交流の関係を考察するためにペルー南海岸において遺跡分布調査を行った結果、高地に近い河川の上流域に同時期の遺跡が多く分布することが判明した。これによって、海岸の社会が高地における初期文明の成立に果たした役割を理解する手がかりが得られた。
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