本研究は、これまで客観的なデータによって整理されることのなかった平安期緑釉陶器の釉調の色彩学的検討を包括的に行ったものである。緑釉陶器の生産は、東海、近江、畿内、防長という4地域で行われ、産地ごとに釉調と胎土の特徴の違いが指摘されており、これを色彩学的観点からの多様なアプローチにより明らかにすることを目的とした。 具体的な方法としては、釉薬のテストピース作成による原料と釉の発色の復元的実験を行うとともに、産地資料の色調データを蓄積し、器械計測による分光反射率の分析によって、産地資料との比較を行った。
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