研究課題/領域番号 |
25770284
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研究機関 | 奈良県立橿原考古学研究所 |
研究代表者 |
北山 峰生 奈良県立橿原考古学研究所, 調査課, 主任研究員 (20332463)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 考古学 / 近代化 / 現代史 / 建築史 / 煉瓦 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、煉瓦・瓦・タイルなどの窯業製品を考古学的に分析し、日本の近代化過程における産業技術転換の具体相と、その問題点を明らかにすることである。このような目的を達成するために、つぎに述べる三段階で研究を進めることを計画した。 ①煉瓦・瓦・タイルに残された製作技術の痕跡を考古学的に読み取る方法を発揮することで、それぞれの生産の実態を明らかにする。 ②これら三者を比較することで、窯業生産の技術系譜を明らかにする。 ③産業構造の屋台骨とも言える生産者の実態から、近代化の過程を復元し、それが包括する問題点を指摘することをめざす。 調査を進める過程で、日本の近代化を考えるには日本国内だけではなく東アジアについても観察の必要性に気づいた。このため、韓国・中国・台湾などにおける煉瓦積建物も調査対象に加えた。このうち、一部については実際に観察に赴くなどして、東アジアにおける代表的な近代建築の流れを整理することに努めた。こういった大づかみな流れを把握する作業と、個別資料の観察から生産実態の解釈を積み上げる作業とを、併行して進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究開始にあたって計画した三段階のうち、平成26年度に予定していた第二段階を達成していないから。 その反面、調査の進展に伴い、当初は想定していなかった問題点(特に、東アジア的な視点から近代化の流れを説明すること)について考えを巡らせることができた。このため、必ずしも当初計画通りに進展しているわけではないが、結果的に当初の見込みよりも研究に深みを持たせられる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
日本の近代化は、従来は日本国内の事情として語られる傾向が強かった。しかし、海外の動向に注目してみると、東アジア全体で19世紀後半に「近代化」が求められたらしいことを再認識した。このことの歴史的必然性を説明することを、課題とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に予定していた調査旅行が、実施できなかったから。
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次年度使用額の使用計画 |
調査対象はすでに決まっており、これについて平成27年度内に調査に赴く予定である。
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