研究課題/領域番号 |
25770296
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
前田 洋介 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (10646699)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | コミュニティ / 地理的不均等発展 / 自治体内分権 / 町内会 |
研究実績の概要 |
本年度は,主として自治体内分権制度に焦点をあて,エリア型コミュニティの主体性を重視した事業や制度と,エリア型コミュニティの地理的不均等発展との関係について調査・分析を進めた. 具体的には主に,(1)全国の自治体を対象とした自治体内分権制度に関するアンケート調査と,(2)自治体内分権制度の実施過程や状況に関する基礎的な調査・分析を行った.(1)については,約900の自治体から回答が得られた.類する仕組みを含め,約4割の自治体が自治内分権制度を導入しており,そのうち約半数の自治体が,活動の活発さに地域差があると認識していた.また,自由回答欄の記述等から,地域差の要因について多くの示唆が得られた.アンケート全体として,当初の予定以上に充実した結果を得ることができた.(2)については,名古屋市の地域委員会制度についてインタビュー及び資料収集を主とした調査をパイロット的に行うとともに,同制度を1つの参照基準としながら,(1)の回答も踏まえつつ,全国の自治体内分権制度について整理・分析を行った. (1)と(2)の調査・分析を通じ,エリア型コミュニティの現状が,自治体内分権制度のパフォーマンスに影響を与え,そのことが,エリア型コミュニティの更なる地理的不均等発展を招く可能性を垣間みることができた.次年度は,複数の特徴的な自治体を対象によりインテンシブな調査・分析を実施し,また,アンケート結果の更なる分析を進めることで,この点を明確にし,エリア型コミュニティの地理的不均等発展の実態とメカニズムを解明していく.なお,当初の計画では本年度に,複数の自治体において,町内会等のエリア型コミュニティを対象としたアンケートの実施を検討していたが,(1)と(2)の調査・分析の過程で調査法を再検討した結果,エリア型コミュニティに関しては,インタビューを軸に調査を進めることにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全国の自治体を対象に実施したアンケート調査から予定以上に充実した結果を得ることができた一方で,当初予定してた一部の自治体に対する現地調査が十分にできなかったため,「(2)おおむね順調に進展している」と自己評価した.なお,自治体に対する現地調査が不十分であったのは,「研究実績の概要」でも述べたように,研究の過程で調査法を再検討したことによるものであり,研究全体の進捗に影響するものではない.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,まず,本年度の調査・分析をもとに,自治体内分権制度に関して特徴的な市区町村を早急に選定し(パイロット調査を進めていた名古屋市を含め,5つ程度の自治体を選定予定),自治体とエリア型コミュニティに対するインタビューを軸とした調査・分析を実施する.また,国勢調査等の既存の統計を用いながら,本年度実施したアンケート結果のさらなる分析を進める.以上の結果に加え,昨年度の成果も踏まえ,エリア型コミュニティの地理的不均等発展の実態とメカニズムに関する考察を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
「研究実績の概要」で述べたように,当初の計画では,複数の自治体において町内会等のエリア型コミュニティを対象としたアンケート調査を検討していたが,研究の過程で調査法を再検討し,インタビューを軸に調査をすすめることにしたため.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は,複数の市区町村において実施する,自治体とエリア型コミュニティに対する自治体内分権に関する現地調査に係る旅費と,今年度に実施したアンケート調査と次年度に実施予定のインタビュー調査の整理・分析に係る人件費・謝金を中心に使用する予定である.加えて,データの整理・分析に必要な消耗品や,分析・考察に必要となる書籍の購入に係る費用,また,研究成果の学会報告に係る旅費に使用する予定である.なお,上述の理由で生じた本年度の繰越金は,現地調査に係る費用に使用予定である.
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