研究課題
本研究課題の目的は,日本と台湾を主な研究対象として,廃棄物リサイクルのグローバル化とそのインパクトについて追究することである。2015年度は,研究開始当初に設定した4つの研究テーマのうち,主に「国際資源循環や廃棄物リサイクルにかかわるアクターに関する研究」に取り組んだ。その成果の概要を以下に記す。1.集団回収の変化に関する分析と今後の予測: 住民主体のリサイクル活動である集団回収がこれまでどのように変化してきたかについて,近畿地方の市町村を対象にデータ分析を行い,また,分析結果をもとに今後の展望を行った。都市的地域のほうが集団回収活動を推進しやすい状況にあるが,そのためには行政収集も含めてごみ管理のシステムを大きく変える必要があることを提示した。2.ごみ減少期に入った2000年代における日本のごみ排出・管理の傾向に関する研究: 2000年代以降,日本は全国的にごみ減少期に入ったとみられる。全国データを用いて分析を行い,どのような地域においてごみ減少の度合いが大きいのか,ごみ減少期におけるリサイクルの特徴は何か,などについて追究した。3.離島におけるごみ排出・管理に関する調査研究: 島根県隠岐郡隠岐の島町を対象地域として,離島におけるごみ排出・管理について調査を実施した。隠岐の島町の島後清掃センターや島後リサイクルセンターなどに対する聞き取り調査を行い,最終処分場や資源ストックヤードなどの現地調査も実施した。
3: やや遅れている
当初の研究計画がやや過大であった。また,2015年度は多忙などの理由により本研究の遂行に十分な時間を費やすことができず,台湾調査も行うことができなかった。
研究期間を延長して2016年度も本研究を遂行していく(補助事業期間延長承認済)。2016年度においては,2015年度に取り組んだ集団回収に関する研究,ごみ減少期におけるごみ排出・管理に関する研究,離島での調査研究をさらに進め,研究開始当初に設定した4つの研究テーマのうちの「国際資源循環や廃棄物リサイクルにかかわるアクターに関する研究」の進展を目指す。また,台湾調査も実施し,「台湾を軸とした国際資源循環に関する研究」も進めていく。
当初の研究計画と廃棄物リサイクルの現況とを照らし合わせると,研究計画を変更する必要が生じ,計画策定や調査準備等に時間を要したため。また,諸事情により,2015年度は本研究の遂行に十分な時間を費やすことができなかったため。
主として,延期していた台湾調査や2015年度より実施している離島調査などの旅費として使用する予定である。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Kobayashi, K., Westlund, H., Matsushima, K. and Ohno, S. (eds.) Social Capital and Development Trends in Rural Areas Volume 11, Kyoto: MARG (Marginal Areas Research Group)
巻: - ページ: 245-256
http://na-mii.com