研究課題
本研究は、戦後の造船業・港湾運送業という港湾産業に着目し、資本のグローバルな空間編成過程とローカルな場所の社会文化の変容の相互関係を明らかにするものである。平成27年度においては、前年度から積み重ねた調査研究を継続し、完遂するとともに、本研究全体を総括する作業を行なった。具体的には、第一に、前年度から継続してきた調査研究のなかで、寄せ場・釜ヶ崎の労働市場にかかわる貴重な第一次資料を大量に発見するにいたった。これらの資料群は、本研究の課題を明らかにするうえできわめて重要な価値を有するものであり、また、社会的価値のきわめて高いものであった。これら資料群は紙媒体であり、また、複数個所に分散して保存されている状態にあった。それゆえ、将来的に散逸してしまいかねない状態にあった。本研究ではこれらの資料群を画像データへと変換し、アーカイブを作成する作業を集中的に行なった。第二に、資料収集とあわせて聞き取り調査を継続して行なった。この調査により、前年度までの調査で得られた知見をより深めることが可能になった。また、とりわけ港湾運送業・造船業と寄せ場との関係性という研究課題については、聞き取り調査のなかで新たな発見が得られた。これらの点もまた、上記の資料調査とあわせて、本研究を大きく進捗させるものであった。第三に、本研究全体を総括するべく、次の作業を行なった。まず、本研究が繰り広げた調査研究のなかで得られた資料を、集約・分析した。そのうえで、これによって得られた知見を提示した報告書を作成・製本した。この報告書は、本研究で得られた知見を広く社会に発信し、還元することが可能にするという意義を有するものであったといえる。
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Disaster, Infrastructure and Society: Learning from the 2011 Earthquake in Japan
巻: 7 ページ: 未定
立命館言語文化研究
巻: 27 ページ: 181-191
寄せ場
巻: 27 ページ: 261-264