本研究は、戦争・紛争の語りのなかで場所や風景が帯びる意味と重要性を明らかにすることを目的としている。主な研究対象地域はイギリス領北アイルランドと南米のチリである。長期紛争の終了後にも異なる民族コミュニティが分かれて暮らす都市ベルファストにおける政治壁画・記憶壁画や、軍事独裁期の記憶を描くチリのタペストリー、「アルピジェラ」のなかに、土地に対する愛着と辛苦の表現がいかに風景描写としてあらわれるのかを分析した。この研究成果は、2015年に出版した単著の一部をなした。また、軍事独裁期の記憶を描くチリのタペストリーについては、その研究成果が、2017年度に仙台・京都・長崎の巡回展として公開されている。
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