本研究課題では自然観といった「象徴的な自然」が越境する様相を精査して脱領域化・再領域化のメカニズムを解明しようと試みた。文化人類学的手法を用いて、日本の里山、イギリスの鉱山景観、メキシコの鉱山景観・街並みを対象に調査をおこなった。その結果、各事例において「象徴的な自然」がローカルからナショナルへ越境する時には自然観等が一般化されて浸透していくこと、ナショナルからグローバルへ越境する際には「象徴的自然」の解釈が専門的な用語で置き換えられて受容できる人々が限定されてしまうこと、グローバルからローカルへ再領域化する際には「象徴的な自然」が重層的に解釈・説明されて多様化することが明らかになった。
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