スワヒリ海岸と紅海沿岸のイスラーム海村における比較研究より、インド洋西海域世界の漁民文化の動態と現代的課題を解明することが研究の目的であった。 近年の市場経済の浸透や、環境保護政策などの実施による急激な社会変化が、アフリカ海村社会に共通の問題である。魚需要増大による流通形態の変化によってスワヒリ海村の経済活動は活発化している。しかし同時に、島内での魚消費が減り、魚の贈与の慣習がなくなるなどの問題も浮上してきた。海洋保護区でもありユネスコ世界遺産サイトでもあるスーダン紅海北部ドンゴナーブ湾では、水深に応じた資源利用に着目することで、漁民と保護動物ジュゴンの共存型海洋保護区の構想が得られた。
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