①成果発表 本年度行った本研究関連の成果発表は、論文1本と口頭発表3本である。 まず、論文については、本研究課題のタリベに付随する「ストリート・チルドレン」に関し、「「ストリート・チルドレン」を再生産するNGO-ブルキナファソ、ワガドゥグ市の事例から」と題した研究ノートが『文化人類学』81巻2号に採録された。ここでは、ストリート・チルドレンが増加する現象をNGOの活動の活発化に求め、開発と社会問題の両義的な関係性について論じた。次に、口頭発表について述べる。まず、「制度化するイスラーム教育:ブルキナファソの事例から」と題した報告を第17回アフリカ教育研究フォーラム(平成28年4月)で発表した。次いで、2016年12月には、南山大学人類学研究所における公開シンポジウムにおいて、「西アフリカのイスラーム教育機関の経営環境の変化と新たな展開」というタイトルで発表し、『宗教組織の経営』の観点から、本研究の研究対象である西アフリカにおけるクルアーン学校の経営に関する現代的諸相を分析した。そして、2017年1月には第224回アフリカ地域研究会(京都大学)において、「「ストリート・チルドレン」の季節移動と統計調査」を発表した。本発表では、2014年に行った統計調査とこれまでの聞き取り調査を元に、ワガドゥグのストリートを住処とする子どもたちの季節移動を計量的かつ民族誌的に分析した。 ②調査活動の展開 12月にブルキナファソ調査を敢行し、クルアーン学校の現状調査、ストリート・チルドレンに含まれるタリベ(クルアーン学校の生徒)の日常に関わる調査を行った。これらの調査は、前3年間に政情不安等の影響により実施が難しかったものであり、本研究のコアとなるものである。研究期間内の成果発表はできなかったが、今後のさらに精緻な分析の資料となると考えている。
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