中国の制裁システムの動態構造の解明を目指す第一歩として、本研究は治安管理処罰法制(刑罰を科すには至らない軽微な違法行為を処罰する行政処罰)と他の法的制裁(特に刑事)との動態的関係に着目し、その実体的・手続的法制を考察し、それらとの関係における①本制度の法的性格、および②現実的機能を解明した上で、③制裁システムにおいて本制度を位置づけることを目指す。 最終年度(3年目)である本年度は、既存の成果を振り返りつつ、他の法的制裁との動態的関係・位相を解明し、③制裁システムにおいて本制度を位置づけることを目指した。具体的には次の3点の作業を進めた。 1.文献調査 これまでの知見(①本制度の法的性格および②現実的機能)を振り返りつつ、主に制裁システムにおける本制度の位置づけに関する議論を収集・読解した。 2.中間的発表 成果の最終的取りまとめに向けて、それまでの知見を整理し、比較法学会社会主義法・アジア法部会(於中央大学、2015年6月6日)にて「中国の制裁システムにおける治安管理処罰制度の位置づけと機能――刑事制度との関係・比較から――」と題して報告を行った。その後、その要旨を坂口一成「中国の制裁システムにおける治安管理処罰制度の位置づけと機能――刑事制度との関係・比較から――」比較法研究77号(2015年)243~243頁として公表した。 3.論文公表準備 学会報告後、質疑応答等を踏まえて、成果論文の執筆を進めている。
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