研究課題/領域番号 |
25780017
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
田代 亜紀 専修大学, 法務研究科, 准教授 (20447270)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 表現の自由 / 内容規制 |
研究概要 |
研究課題であるアメリカの「表現の自由」論の普遍性の検証に向け、関係する文献を参照しているなかで、平成25年度は比較的新しいアメリカ最高裁判決に着目した。それは、FCC v.Fox(2012年)で、これを特に検討対象として、アメリカの表現の自由理論、放送の自由、内容規制などについて考え、1つの論文の形にまとめた。本論文では、F言葉と呼ばれる下品な英語(fuckやその変形)が放送において規制されることの是非について検討した。下品な表現について、本研究課題の問題関心である、アメリカにおける表現の自由理論の「普遍性」または強固な表現の自由論からすれば、保護対象になりえる(もちろん、「下品な表現」それ自体の検討も必要であるが)。したがって、それを規制することには説得的な根拠が必要になる。この点、放送規制に関する従来型の説明(電波の稀少性、メディアの浸透性、子どもへの影響力)の説得力が時代の変化とともに失われつつあるなかで、どのようにその規制を正当化するか、この検証作業を本論文では行った。その結果、放送という特殊な場が議論に影響をずいぶん与えているものの、表現の自由が社会においてどうあるべきか、内容規制をどのように捉えるかという点を検討でき、その意味で、本研究課題に示唆深かったように思われる。また、比較的新しい最高裁判例に接することで、社会のアクチュアルな問題、動向を吸収できた点も有意義であった。他方で、放送という特殊要素、例えば、放送制度というある種の枠内での表現の自由という部分など、それ自体は興味深いトピックであるが、本研究課題においては整理して扱う必要があり、その消化方法を現在考えているところである。以上が、本研究課題に対する平成25年度の研究実績の意義であるが、本研究課題に直接は関係しないものの、平成25年度の研究実績によって、日米の放送の自由理論の比較視座を得られたことも付随的な意義となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記、研究実績において述べたように、平成25年はアメリカの表現の自由理論に接近しながらも、放送という特殊要素も考慮したため、参照文献が研究課題と若干ずれるところもあった。その点を軌道修正しながら、平成26年度の研究に臨みたい。
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今後の研究の推進方策 |
上記、達成度で述べたように、参照する文献の軌道修正を考えている。具体的には、ヘイトスピーチ論の動向、ポルノグラフィ論の動向、社会におけるマイノリティの動向、といった点で文献を選定していきたい。また、必要があれば、アメリカに出張し、現在の議論の動向も探ってきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
産前産後の休暇又は育児休業による中断により、文献の購入が中断し、また予定していた海外出張ができなかった。 研究課題に直接に関係する文献を購入する。海外出張を行う予定である。
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