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平成26年度は、本研究課題である平等権侵害がなされた場合の違憲審査基準に関して、平成25年度において検討できなかった部分について研究を進めた。
平等権侵害をめぐるこれまでの議論は、区別を生じさせる事由の検討及び制約されている権利・利益の重大性の二本柱でなされてきた。このうち、前者については、25年度において検討し、論文を公表したため、26年度は後者の点について検討した。その上で、これまで重視されてきた権利・利益の重大性をめぐる視点は、カナダにおける議論のようにいかなる形で当該不利益が課されているのかという点に視点を変えることで、平等権侵害の本質を捉えられるのではないかと考えた。これについては、「平等権侵害の審査における『権利・利益の重大性』についての覚書」と題した論文にまとめ、公表した。
次に、平等権侵害をめぐる個別的事件の判例分析を行った。これについては、アメリカ合衆国で議論が盛り上がっている同性婚の問題について、合衆国最高裁が下した近時の判決を取り上げ検討した。同性婚の事例は平等権と深く関わっており、アメリカの影響を強く受けている我が国の違憲審査基準論と絡めて、区別事由や権利・利益の重大性について、具体的な素材をもとに考察する契機となった。これについては、「同性婚をめぐる合衆国最高裁の2つの判例」と題した判例紹介にまとめ、公表した。
最後に、本研究の独自性の一つに、これまで我が国でほとんど紹介されてこなかったカナダ憲法を比較の素材とすることが挙げられるが、同時に、広くカナダ憲法を喧伝していくことも目的に掲げてある。これについては、大学の学部生及び大学院生、更には研究者をも対象とした『レクチャー比較憲法』（共著）の中で、第7章「カナダ」を担当し、カナダ憲法の概要を記した。
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