ドイツでは,違法な行政活動による権利侵害の危険がある場合には,その権利の主体は不作為請求権を有する。ただし行政行為に関しては,取消訴訟制度が法定されていることから,原則としてこれを利用すべきものとされる。他方,単純行政活動と呼ばれる法的拘束力のない行政活動に関しては,不作為訴訟の提起が比較的容易に認められている。 日本でも,違法な行政活動による権利侵害の危険がある場合には不作為請求権が成立すると考えられる。事後的救済の仕組みを整備して原則としてこれを用いるべきものとすることは許されるが,そうでない限り,不作為を求める訴訟の提起を制限すべきではない。
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