研究課題/領域番号 |
25780023
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
重本 達哉 近畿大学, 法学部, 講師 (60584042)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 行政代執行 / 行政強制 / 法執行 / ドイツ / 行政法 / 行政上の強制徴収 |
研究概要 |
わが国では現在、行政代執行を含む行政上の強制執行の活性化論が有力化しつつある一方で、行政上の強制執行の中で主要な地位を占める行政代執行に関する理論的研究すら必ずしも盛んではない。 そこで、行政代執行の基礎理論、とりわけ行政代執行の対象の中核的要素を解明するべく、ひいては「行政代執行」概念そのものをできるだけ明確化するべく、本年度は、従来の研究に引き続いて比較対象となり得るドイツの代執行手続などを研究した。 その成果の1つとして公表したのが、「ドイツにおける行政執行の違法性をめぐる最近の動向」近畿大学法学61巻2・3号(2013年)193-215頁である。この論文では、ドイツにおける代執行を含む行政執行の違法性に関する近時の議論動向を踏まえて、行政執行の消極要件に関する検討の深化こそが重要であることを明らかにするとともに、代執行費用を徴収する手続的措置の体系的位置付け(代執行手続の一環として位置付けるべきか、それとも、別箇独立の行政執行における措置としてみなすべきか)について検討する必要性を再確認することなどを通じて、行政代執行に関するわが国の理論的研究の深化に少なからず寄与することができた。 また、行政代執行に関する日独両国の基礎的な文献及び判例の収集・分析過程において、わが国のみならず、ドイツにおいても基本書・概説書における概念定義が案外曖昧であることが明らかになりつつあるが、この点に関する本格的な検討は、当初の計画通り、次年度に引き継がれる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、当初の計画によれば、行政代執行に関するわが国の基礎的な文献及び関連判例の収集・分析に努めるとともに、ドイツにおける関連文献・判例の網羅的収集に努めることを主として予定していた。したがって、研究成果の一部を論文として公表できたこと自体が、研究が順調に進展していることの一つの証左である。しかし他方で、ドイツにおける各州法の関連文献・判例の網羅的収集作業については若干の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、当初の計画通り、本年度に収集した関連文献・判例の整理・検討を重点的に行い、とりわけドイツの各州における現行法制度の特色や最新の法改正に留意しつつ、研究の進展に伴い不足が生じた情報についてそのつどデータベースなどを駆使することにより、文献調査をさらに進めることを予定している。また、その過程においてとりまとめることのできた研究成果は、関係学会での研究報告や所属大学の紀要における研究論文などを通じてできるだけ早期に発信し、批判的検証の機会を引き続き積極的に求めたい。なお、ドイツにおける各州法の関連文献・判例の網羅的な分析が困難になった場合には、分析・検討の対象を適宜限定するなどの対応をとる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
行政代執行に関する日独両国の文献をより多く購入するために、当初予定していた印刷費などを所属研究機関から支給されている個人研究費によって支出したほか、本年度中に購入を予定していた上記文献の一部が次年度に出版延期となったから。 本年度に引き続き、行政代執行に関する日独両国の文献を当初の計画よりも多く購入するために使用する予定である。
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