研究課題/領域番号 |
25780024
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 沖縄国際大学 |
研究代表者 |
西山 千絵 沖縄国際大学, 法学部, 講師 (20633506)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 比較憲法研究 |
研究概要 |
本研究課題は、アメリカおよびドイツを主たる対象とした、公教育と生徒の宗教的自由との緊張関係にかかる比較憲法研究である。平成25年度は研究の出発点としてわが国における従来の判例・学説の状況を確認する作業から進めた。というのも、政教分離、あるいは公的機関が帯有する宗教性には地域的・歴史的特殊性があるため、それを加味して比較を行い、解釈していく必要があるからである。わが国の特徴を振り返る意味でも、従来の政教分離制度の下で公的活動に規律が及ぶなか、信教の自由に対する保護がいかに構想されてきたかを検討し、調和ある両立という観点から、従来の議論と判例の示唆するところに考察を加えた。 これに関連して、本研究課題に基づく科研費の補助を受けた成果物として、論説1点、報告1点がある。(九州法学会第118回学術大会(平成25年6月29日)で研究報告を行ったものであり、会報に論説を掲載した)。 上記作業と並行して、年度の後半から比較研究にも着手したが、海外での文献収集を行う時間的余裕を有しなかったため、まず国内での先行研究に一定の蓄積があり、文献入手も比較的容易であるアメリカの事例研究に重点を置いている。各州の公立学校で発生した裁判例を中心に、事案と判決の概要を精査しつつ、それらを同国の従来の宗教判例の流れに位置づける作業、さらに、宗教的な表現に対する自由と制約とのバランスを図る学説の議論を適宜まとめる作業を進めている。 アメリカでは信仰と信者としての一貫性を求め、様々な訴訟が展開されており示唆に富む。しかし、ホームスクールの発展やその規律、子どもの教育に対する親の教育の自由(親の教育権)の優越への目配りなど、公教育の位置づけをも踏まえたわが国との位相の違いを前にして、実体的レベルでの対応にどこまで言及するかなど、比較の展開に苦慮するところである。論文にまとめ、平成26年度内に本学紀要に公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年から今年にかけて、沖縄では基地移設問題に関連づけられた選挙が続いており、その件で選挙問題にかかる研究報告などの依頼を受けており、急遽間に挟むこととなった。そこから国内法研究に手間取って、個人で行う研究に立ち上がりの遅れがあった。本課題にかかる研究は当初の計画からすると、アメリカで懸念されている問題点と対応策の析出が不十分であり、平成26年度に一部ずれこんで作業している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度においては、前年度までの作業を踏まえてアメリカにかかる研究から、最終年度に向けてドイツの研究へと比重をおきかえることが目指される。そのため、前者の成果を当該年度内において一段落させ、得られた成果を公表するということが具体的目標となる。 方法としては、平成25年度中に進めた研究と並行して進めつつ、引き続き文献の収集を行い、さらに研究会等における参加・研究報告を通じて、議論の精緻化と修正を図り、成果のとりまとめを進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成26年度使用額は、平成25年度において当初予定していたよりも収集・整理することができず、国内で入手できる文献を用いたことに伴って、未使用額が発生したものであった。 この点、平成26年度では平成25年度に予定していた分も含めた作業を着実に行う。平成26年度請求額とあわせて、今年度計画している研究の遂行のため、本研究の遂行に必要な文献の収集整理、学会や研究会などへの参加、必要な研究環境の整備等の費用として、研究費を使用する予定である。
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