本研究の目的は、公教育上における生徒の宗教的自由への配慮に関する比較憲法的考察として、とりわけアメリカにおける生徒の宗教的自由への対応とその特徴を、政教分離原則を採用するわが国の剣道実技拒否事件を契機としたわが国との議論との対比において明らかにすることであった。研究を進めた結果、とりわけ、宗教的教育にかかる自由の一の選択肢としてホームスタディへの権利を認めておくことの意義が明確になった。宗教的自由にかかる合理的な配慮をめぐって、公立学校における宗教的中立性の基軸と対応の限界とを補う議論とともに、子どもの教育を受ける権利の確保のあり方について知見が得られた。
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