WTOにおける「共通利益」は、実体法と手続法の双方において規律の拡大と実効性を確保し、条約体制としての構造強化から導き出される概念であり、加盟国が多数国間条約体制の下で共通して目指す共同体利益 (community/systemic interest)とみるべきである。 その意味において、WTOにおける「共通利益」は、国家の個別利益には還元できない一般利益とは区別された、国民経済利益の確保・拡大に動機づけられた国際行政行為を支える概念であると捉えるのが妥当であり、それ自体として何らかの法的効果を直ちに生じさせるものではない。
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