本研究の目的は、現代国際法における中立制度の意義と機能を明らかにすることである。伝統的中立制度においても、いわゆる「公平義務」は、中立国が負う義務というよりも、中立にとどまるための「条件」であり、中立にとどまることを望まない国がこの「条件」を満たさず、一方交戦国を援助することは自由であった。現代国際法においてもこの状況は変わっておらず、武力紛争の第三国が一方交戦国を援助すること(いわゆる「非交戦状態」の態度)は自由である。戦争・武力紛争の外にとどまることを法的に保障する制度としての中立制度は、現代国際法でも、特に海上捕獲の分野を中心に、依然として意義を失ってはいない。
|