本研究は当初、国際私法上のプライバシー侵害を重視していた。しかし、研究を進めるにつれ日韓米三国がマネーロンダリングに関わる法制度を整備する際に、当該社会における課題が有効な対策を妨げている点が明らかとなった。具体的には、日本では暴力団対策の不備、およびマネーロンダリングとテロとの連関についての意識の低さ、韓国では政治家等の汚職に関わる金銭の不透明さ、アメリカでは違法薬物による数兆円規模の現金市場の存在である。本研究を通じて、テロ資金や金融の問題は実生活との関連が深く、社会の実像が反映され易い側面を明らかにすることができた。
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