本研究は、企業組織再編が実施される際に、労働者保護を目的とする法規制をどのように構築すべきかを検討することを目的としている。企業組織再編のなかでも特に、事業譲渡および会社分割の実施は、労働契約の帰趨や労働条件の変更等の労働関係に大きな影響を与えるものであるにも関わらず、労働者の取扱いに関する包括的な研究が手薄な状況であったともいえる。 そこで本研究では、比較法的見地も踏まえながら、日本における企業組織再編時の労働法規範構造を分析し、課題解決に向けた試論を提示することを試みた。 本研究の最終年度である平成27年度は、研究計画にしたがい、以下の作業を行った。すなわち、比較研究の対象としているドイツ法との比較法的見地に立って、企業組織再編時の労働者保護法制の課題の析出作業を試みた。この作業を踏まえ、日本における企業組織再編時の労働者保護法制のあり方を分析し、問題点をより明確化した。そして、抽出された課題解決に向けた試論の分析を行った。
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