研究課題/領域番号 |
25780037
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
櫻庭 涼子 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (20362808)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 労働法 |
研究概要 |
本年度は、労働者の宗教上の理由による欠勤や一定のシンボルの着用などに対して使用者は配慮するように求められるのか、使用者が配慮を求められるとしたら、どのようなアプローチがあるのか、また、それらのアプローチの異同について、米国法およびヨーロッパ人権裁判所の判断例をもとに検討を行った。その結果、労働者の宗教の自由の保護というアプローチ、間接差別の禁止、合理的配慮というアプローチがあり、求められる配慮の度合い・判断枠組みも様々であることが明らかになった。 また、労働者の年齢を理由とする差別禁止についても、EUおよびイギリスを素材として、定年制との関係でどのように適用されているのかについて、検討を行った。従来は、年金支給と接合していれば年齢差別禁止法に違反しないと解されてきたが、イギリスにおいて、65歳以上定年を適法と認める規定が削除されるなど、年齢差別禁止法がこの面において強化されていることなどを明らかにした。 さらに、有期雇用を理由とする差別について、EUおよびイギリス法の規制のあり方についての検討を行った。男女差別などとどのような場合に正当化が認められているかといった点を中心に考察したところ、臨時的な雇用である、使用者の経営状況などといった一般的な理由による正当化は認められていないことが明らかになった。日本の今後の立法論・解釈論において参考になる展開と考えられる。 このほか、日本法における、就業規則における不利益変更との関係で、労働者個人が当該取扱に同意をしていたとき、どのように評価すべきかについて一定の検討も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
雇用における宗教差別、年齢差別を中心に、差別概念・例外規定についての一定の検討を行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
雇用形態による差別への規制は日本では強化される傾向にあるため、この点についての研究を行うこと、また、そのほかの日本ではまだ十分に議論されていない差別類型について研究を行うこととする。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた海外渡航回数を減らし、日本での研究を優先したため。 海外でのインタビューおよび資料収集を長期にわたって行うことを計画している。
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