本研究では、潜在能力アプローチの観点から労働法の規範的基礎を再構成するイギリス労働法学の議論に考察を加え、労働法の新たな規範的基礎は価値ある労働の自由に求められること、労働契約論における公と私の関係性、さらには、労働関係における集団性と公的規制の関係について再検討する必要があること、を明らかにすることができた。具体的には、本研究を通じて、労働契約制度と公的価値を自省的に実現するためのReflexive Regulationsと位置付け、これと「価値ある労働の自由」という規範的基礎と結び付けることにより、労働法理論を再構成することができる、という仮説を得た。
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